キャッシングでは「期限の利益」という法律用語があります。意味は簡単で「この日までは、お金を借りたままでいい」という権利のことです。この権利は借りている人にとって「便利」なので「利益」と言っているわけですね。
お金を貸した人は、普通なら「いつでも一括返済を要求していい」はずです。たとえば友達にお金を貸した場合がそうでしょう。貸した本人が、借りた友達に対して「あの5000円、早く返せよ」というはずです。
普通の小規模な個人間融資なら、それでもいいでしょう。しかし、貸金業を正式に成り立たせるには、これではダメです。「返済さえしていれば、一括返済しなくていい」というルールでなければ、多くの人は借りることができません。
ということで、「期限の利益」という法律が生まれたんですね。民法136条に書かれているものです。これがあるため「遅延・延滞せずに返済していれば、一気に全額返済しなくていい」という安心感が生まれ、貸金業が成立したのです。
この期限の利益が消滅する時は、「契約で決めた時」です。実は、法律でハッキリ決まっているわけではありません。カードローンでも住宅ローンでも、それぞれの契約をする時に「こういう状況・条件で、期限の利益の喪失とする」という約束をするわけです。
たとえば大手の消費者金融の場合、大体「1日遅れたら」という風になっています。たった1回、1日(というより1時間)遅れただけでも「はい、全額回収ー」としても、別にいいのです。一応、消費者金融にはその権利があるわけですね。
しかし、当然そんなことをしても得しないので、やりません。利用者の満足度を考えても、取れる利息を考えても「そのまま融資しておく」方が利益が大きいですからね。
ということで、SMBCモビット・アコムなどの大手の消費者金融の場合、ある程度の遅延・延滞までは多めに見てもらえます。どのあたりで一括返済を請求するかは、その利用者の態度などによります。
私の場合、クレジットカードで一括返済を請求されたことがあります。楽天クレジットカードでしたが、その時は「20万円」近くを延滞してしまったのです。
実は、当時の私は「借金を一気に減らそう」と意気込んでおり、本来月々1万円程度の支払いでよかったところを「来月20万円払う」という設定にしてしまったんですね。
しかし、5万円ほど稼ぎが足りずに、結局引き落とせなかったのです。楽天クレジットカードの社員さんからは1ヶ月の間に何度か請求が来て、「まる1ヶ月経つと、強制解約になってしまいます」と、2週間くらい経った時に言われました。
そして結局払えずに強制解約になり翌月には全額払えたのですが、痛い経験です。この時の「期限の利益」は、楽天KC側で「1ヶ月」と決めたわけです。
ちなみに、普通の利用者の場合はもっと長いはずです。私の場合、
というのが理由です。もっと金額が小さかったり、クレジットスコアが高かったりすれば、全額返済は請求されなかったでしょう。
…というように期限の利益の喪失が実際にいつになるかは、その人の信用度や遅延・延滞の状況によって大きく変動するということです。痛い体験談ですが、参考になれば幸いです。
質流れというのは、「質屋で借りたお金を返済できず、預けていた物品が、そのまま質屋の物になる」ということです。これも「期限の利益の喪失」です。
「いついつまでは、完済しなくても、質草を預かっていてもらえる」という「期限の利益」が、なくなったことですね。質屋の場合は「期限の利益の喪失」の期限がはっきり決まっていて「3ヶ月」となっています。
これを「流質期限(りゅうしちきげん)」とか、俗には「預かり期限」などといいます。いずれにしても、質屋の場合は質屋営業法によって、統一された「期限の利益の喪失のタイミング」が決まっているわけです。
(ちなみに、喪失のタイミングのことを「消滅時効」といいます)
特に住宅ローンの返済でよく聞く「リスケジュール」という単語。これも「期限の利益」と関係が深い専門用語です。
リスケジュールとは、「返済計画を練り直す」ということ。「スケジュール」を「Re=再度」設定するということですね。これは住宅ローンの返済だけではなく、自動車ローンでもあるいは企業経営の銀行融資でも、あらゆる場面で使われます。
ただ、消費者金融の返済などは「遅れたら一括返済」で終わりなので、あまりリスケジュールという単語は聞きません。金額が大きい場面で必要になるものなので、個人の場合「住宅ローン」が一番多いのです。
以上、キャッシングやカードローンに関わる法律用語「期限の利益」についてまとめました。お金が必要な時に直接関わる知識ではありませんが、貸金業の知識の一端として、参考になれば幸いです。
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