無人契約機で虚偽の申し込みをするとどうなるのか―。ここでは、実際に無人契約機での審査をキャッシング会社で担当していた人の話を元に、まとめます。
まず、一般的な虚偽申告の方法は、すべて審査する側にはバレバレだそうです。たとえば下のような方法ですね。
まず、「家族の本人確認書類を提出する」については、無人契約機はカメラを通じてその様子が見られているので、「顔が違う」ということでバレます。自動契約機の画面はそのままカメラになっているので、テレビ電話のような要領で、通話をしていない時でもすでにこちらの様子が送られているんですね。
審査するオペレーターさんは、そうして申し込み者の様子をすべて観察しているのです。というわけで「双子で顔がそっくり」というような例外を除けば、家族の身分証明書で審査に通ることは、ローン契約機でもできません。
次によくある方法が「名前の読み方をわざと変える」というのも。「音読みと訓読みで、2通りの読み方ができる」という苗字の場合、特にこれが多いです。
ということですね。陣内はお笑い芸人の陣内智則さん、江頭は「江頭2:50」さんなど、著名人でもこのような名前はよくあります。
こういう違う読み方ができる苗字の場合、わざと違う方で申告して、自分の過去のブラックリストの情報が検索されないようにするわけです。しかし、残念ながらこの方法では審査に通りません。
類似検索というとGoogleのようですが、キャッシング会社の審査でも、そのようなシステムを導入しています。たとえば上の陣内さんだったら「じんのうち」と両方で検索するんですね。
過去はこれを手動でやらなければいけなかったので、その分人件費もかかるし審査時間も長くなる…ということで、しばしば省略されることがありました。しかし、今ではコンピューターによって、Googleの「○○ではありませんか?」のように自動的に類似検索ができるので、コストもかかる時間もゼロなのです。
ということで「似た名前・別の読み方で虚偽申告する」という悪質な方法は、今では全く使えなくなっています。そもそも、過剰借り入れをして困るのは当の本人ですから、借りられないのはむしろいいことなのです。
このような詐欺行為がバレた場合、悪質だったら警察に通報されます。そして、審査の担当者はにこやかに時間をかせぐわけです。
「長野様、お住まいに関する証明ができる書類は、何かお持ちでしょうか」「長野様の場合、このままご融資可能ですが、収入が今ひとつ基準に満たないということで、もうしばらく確認作業にお付き合いいただけたらと思います」
…というように「融資できる」ということを匂わせて、とにかく時間を稼ぐわけですね。そして警察が到着したら、そのままローン契約機の中で逮捕される…、とい風です。
まるで『ナニワ金融道』や『闇金ウシジマくん』などの借金漫画に登場しそうなシーンですが、実際にこれは意外とよくあるそうです。ほとんどの人はこのような詐欺行為は働かないとは思いますが、くれぐれもやらないようにしてください。
(ここで書くまでもなく、当然のことですが)
ここまで書いたような虚偽申告を過去にした人は、ローン申込機で審査していた場合、そこで撮影した顔写真が、それぞれのキャッシング会社にはられています。そして「こういう人物が申し込みしてきたら、すぐ警察に通報する」(あるいは厳重に注意して審査する)というようにしています。
さすがにキャッシング業者の事務所に顔写真をはられるレベルの人はめったにいませんが、何にしても「カードローン審査で悪事を働くのは難しい」ということです。
どんな道でも同じだとは思いますが、「悪いことをして利益を得るのは、実は大して楽ではない」という、当たり前の現実を再認識してください。
先に書いた「名前の読み方を変えて虚偽の申し込みをする」というのは、サラ金を舞台にした大ヒット漫画『『ナニワ金融道』にも書かれています。
その時の申し込み者の名前は忘れてしまいましたが、主人公の灰原が、先輩の桑田と、こういうやり取りをします。
…というようなやり取りです(細かいセリフは失念してしまいましたが、流れはこうです)。
当時は灰原がやったようにいちいち手作業で個人信用情報をチェックする必要がありました。もう25年近く前の90年代前半です。
現代ではコンピューターが進化しているので、こういう面倒な手作業をしなくても、先にも書いた通り、虚偽申告をすぐに見破れるようになりました。
これはもちろん便利でいいことなのですが、90年代をこうやって思い出すと、自分と関係ない業界であっても、何か懐かしい気分になりますね。
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