カードローンで借入超過となり、債務整理が必要な時―。選択肢の一つに「個人版民事再生」があります。これは「個人再生」とも呼ばれますが、「個人再生」の呼び名の方が広まっているので、両者が「別の手続き」だと思っている人もいます。
ということで、ここではあえて「個人版民事再生」の方の呼び方を使いながら、この内容・やり方をまとめていきます。
個人版民事再生の内容は、カンタンに書くと下の通りです。
というものです。以下、他の債務整理と比較しながら、メリットやデメリットをまとめます。
自己破産と個人版民事再生の違いは、下の通りです。(以下、「個人版民事再生は…」が冒頭につくと思ってよんでください)
ということです。これは自己破産と比較した時の「メリット」ですね。「デメリットは「借金がチャラにはならない」ということ。借金がチャラにできる債務整理の方法は、自己破産以外にはありません。
任意整理と比較した時の、個人版民事再生のメリットは「借金を大幅に減額できる」ということ。任意整理の場合、
…などのことしかできません。内容は「任意」なので、その交渉によって変わります。
しかし、いずれにしても「キャッシング総額が5分の1になる」というような、大幅な免除はないということです。大幅に借金を減らしたいなら、断然個人版民事再生の方がいいわけですね。
特定調停は、任意整理を「裁判所でやる」ものです。自分で司法書士・弁護士などに依頼する必要がないので、コストが安くつきます。
代わりに法的手続を自分でしなければいけないので、法律も少しは勉強しなければいけませんし、手間も時間もかかります。
(特定調停については、個人版民事再生との違いは「任意整理と同じ」なので、「任意整理と特定調停の違い」だけ見てください)
個人版民事再生で減額できる借金は、「5分の1」とよく言われますが、きっちり5分の1と決まっているわけではありません。「キャッシングの総額によって、何分の一まで免除可能」というラインがあります。
借入総額 | 最低支払い金額 |
---|---|
100万円未満 | 全額 |
100万円以上~500万円未満 | 100万円 |
500万円以上~1500万円未満 | 5分の1 |
1500万円以上~3000万円未満 | 300万円 |
3000万円以上~5000万円未満 | 10分の1 |
…となっています。それぞれの借入総額に応じて、右側の金額は、必ず返済しなければいけないわけですね。
そして、ほとんどの人の場合、債務整理するような借り入れというのは、多くても「500万円~1500万円」の範囲に収まります。ということで「最大で5分の1」となるのです。
実際には「100万円~500万円」で債務整理をする人も多いでしょう。その場合「100万円」までしか下げられません。たとえば「借金総額300万円」で個人版民事再生をした人は「3分の1までしか減らない」ということです。
もちろん3分の1まででも減れば上等ですが、5分の1まで減額するのは、500万円以上借りている人しかできないということですね。それ以下の借り入れでは、5分の1にはならないので、注意してください。
ということです。
個人版民事再生は、先の表の通り、確かに最大10分の1まで減額できます。しかし、その条件は「3000万円以上借金している」というもの。
普通の人が、3000万円以上もキャッシングするということは、ほぼ絶対と言っていいくらい、ありえません。何しろ、貸金業法第13条の2第2項の規定のルールに従えば、「年収9000万円」必要なわけですから。
世界的には「年収3000万円」か「資産1億」が、富裕層の最低限のラインということで、年収3000万円は一応ギリギリ「富裕層」に入るレベルです。
そのレベルの人でようやく「10分の1になる」わけですから、99.9%の人には、まず関係ないと思ってください。(そして、司法書士・弁護士などの事務所で「最大10分の1になります!」などと宣伝している所は、あまり信用しないようにしてください)
*事実ではあっても、誇大広告に近いので、そういう宣伝をしている時点で、あまり信用できないからです。誠実な事務所は「5分の1」としか書いていません。
以上、個人版民事再生の内容や特徴、メリット・デメリットなどを解説しました。特に自宅や安い車など、資産を残したまま借金を大幅に減らせるという点で、多くの人におすすめの債務整理です。
多重債務・キャッシング超過などでクレサラ地獄に陥っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
© カードローン攻略編集部 All rights reserved.