特定調停をすれば利息の支払いをしなくていい―。これは事実です。正確に言うと「特定調停=利息カット」と決まっているわけではなく「そういう内容が一番多い」ということです。
実は、特定調停の内容は自由です。借り手と貸金業者の間で合意した内容であれば、何でもOKです。つまり、下のような内容すべてありなわけですね。
などです。過払い金の返還は、もともと払う必要のない金利なので、これを要求するのは債務整理には入りません。返済中に過払い請求をすると債務整理になりますが、完済後だったら大丈夫です。
(そのため、債務整理によるブラックリスト入りが心配な人は、完済し終わった後に過払い金の返還を請求するようにしましょう)
これは下のような理由です。
ということです。以下、詳しく説明します。
まず、あなたがキャッシング業者の側だったと想像してください。一番腹が立つのは「貸したお金が返って来ない」ことでしょう。つまり「利息が払われない」のが嫌なのではなく「本来のお金=元金」が戻ってこないのが、一番不快なわけです。
これは心理的にも当然ですよね。利息は「もともとあったお金」ではありませんが、元本は「もともと自分が所有していたお金」です。それを返済しないというのは、泥棒されたのと同じですから、許せないというのは間違いないでしょう。
ということで、どんなカードローン会社も「元金の減額」にはなかなか応じてくれないのです。相手の経済状況が相当悪ければ話は別ですが、そうでない場合、「借り入れ元金を減らす」ことだけは、徹底して抵抗を示します。
カードローン業者の人々も人間なので「世間の風習」に合わせる部分は多いです。合わせるつもりはなくても、人間は無意識にそうなるものです、どの業界でも。
で、特定調停や任意整理で「利息をなしにする」というのは、一番多いパターンの1つなんですね。そのため「赤信号、みんなで渡れば怖くない」ではないですが、「まあ、プロミスさんもアコムさんもやっているし、うちもやっていいかな」と、多めに見てくれるわけです。
消費者金融に限らず、人間というのは常に合理的に動く生き物ではありません。ビジネスや投資という本来合理的に動くはずの世界ですら「何となく」判断されている部分は多いのです。
ということで、特定調停で間を取り持つ調停委員としては「こういう話し合いでは、やはり利子を無効にするというのが一番一般的ですから…」などというと、貸金業者を説得しやすいわけですね。
こういう理由で、特定調停で借金総額そのものをいじる場合は、「利子をなくす」というのが一番多いケースなのです。借入総額をいじらない場合は「過払い金の返還」が多いですね。
そもそも、任意整理と特定調停は何が違うのか(むしろ任意整理とは何か)ということを、知らない人もいるでしょう。両者の違い・内容をまとめると、下の通りです。
という風です。つまり「裁判所が中間に入るかどうか」がポイントなわけですね。では、裁判所が間を取り持ってくれると、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
まず最大のメリットとしては「費用がかからない」ということが言えます。任意整理の場合、自力でやってもいいですが、大抵は無理なので「司法書士事務所・弁護士事務所」などに依頼します。当然ですが「依頼料金がかかる」わけです。
最近はだいぶ司法書士・弁護士の報酬も安くなりましたが、それでもキャッシング総額や借入件数など、内容の複雑さ・難易度によっては値段が高くなる可能性もあります。
ただでさえ多重債務で返済地獄に陥っている人は、このような価格は払えないということが多いでしょう。ということで、そのような経済的に困窮していて、債務整理を必要としている人のために「特定調停」があるのです。
タダ同然というと言い過ぎかも知れませんが、特定調停でかかる出費というのは、非常に安いです。書類に貼るための収入印紙が、カードローン業者1件あたり500円かかりますが、これも経済状況によって割引されます。
また、送付するための切手代も1件目のみ1450円かかりますが、2件目の業者からは、250円で送ることができます。ということで、ほとんど費用は発生しないのです。
もちろん、nキャッシング地獄に陥っている人の場合、これだけの費用でも捻出するのが苦しい、ということはあると思います。しかし、特定調停で減額できる分に比べたら、間違いなく少額です。
このように「海老で鯛を釣る」レベルのメリットがある特定調停なので、やらない方法はないでしょう。
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